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学長対談(平成27年10月19日 於:橿原考古学研究所)

奈良教育大学では、優れた教員の養成に取り組んでいますが、国立大学法人、特に教員養成大学を取り巻く状況はますます厳しいものとなっています。反面、教員の質に対する社会的要請はますます高まってきています。
今回は、奈良教育大学の経営協議会学外委員でもある橿原考古学研究所長の菅谷文則氏をお招きし、教員養成の大切さについてお話を伺いました。

菅谷文則氏
橿原考古学研究所長
菅谷文則氏
(経営協議会学外委員)
加藤久雄学長
奈良教育大学
加藤久雄学長

いい先生に出会うということ-優れた教員を養成することの大切さ-

加藤
本日はお忙しいところありがとうございます。
国立大学法人を取り巻く状況はますます厳しいものとなっておりますが、特にその中でも、運営費交付金の大幅な見直しにより、財政面は大きな課題となっています。運営費交付金の削減で教育・研究の質が落ちていきかねません。
本日は、これからの奈良教育大学の教育・研究、ひいては地域の教育・研究をどうしていくべきかというテーマでお話をお伺いできればと考えています。
菅谷
運営費交付金のお話ですね。私が今思うことは、文部科学省の方針が基礎科学には厳しいということです。
理科系でいうと理学部よりも工学部、基礎医学よりも臨床医学にお金あるいは人員が行くようになっているのではないでしょうか。
文化系は更に厳しく、文学部や教育学部、教育系大学への運営費交付金は減っていくシステムになっているのではないか。
ある工業系の大学の予算内訳は、運営費交付金が4割、寄付金や自己収入が6割となっていますが、教員養成系は本当に厳しい状況です。
そもそも、社会全体の構造が教育や文学や哲学にお金を出してくれるというようにはなっていません。アメリカのロックフェラー財団やハーバード大学なんかも文学や哲学がものすごく強いですよね。それはアメリカにはそういう分野にもお金を出すという土壌、風土があるからだと思います。そのような状況を抜きにして、アメリカではこうだから、ヨーロッパではこうだからと工学部、医学部とかそういうところに重点的に配分するということについては、学問の発展、国家の発展を考えたときに、それらはやはりハーモニー、調和がないと駄目だと思います。
最近話題のノーベル賞受賞者も小学校、中学校、高等学校を皆さん卒業されているわけです。そういう方々も学問に目覚められてノーベル賞を受賞された。重点配分の考え方でいくと、そのような方々が学問に目覚められた学校という場で教育するという分野には、お金がまわってこなくなるわけです。基礎教養、基礎教育を蔑ろにしては、日本の教育で今発展していると言われている医学や工学ともハーモニーがなくなると思うのです。
教員養成にも私の専門の考古学にもノーベル賞はありませんが、ノーベル賞を受賞されている方々も普通の小学校、中学校を卒業されておられるわけです。これは非常に重要なことです。一番人間のベースというかソースの部分を巧みに育成して、それをベースにして発展していくわけです。やはり人間のベースがつくられるのは小学校、中学校、高等学校ぐらいまでだと思います。
加藤
先日、ノーベル賞を受賞された大村智氏は山梨大学の学芸学部を卒業され、定時制高校で教員をされながら大学院に進学された方だそうですね。
菅谷
まさに奈良教育大学と同じ教員養成学部を卒業され教壇に立たれていた方ですね。
教員というのはやはり敬意を表される、リスペクトされる存在でなければならないと思います。そのためにも、基礎教養、文系、教員養成にもやはり運営費交付金を重点的に配分していただかないとならないと思います。
理科系の研究者の方々も元は小学校、中学校を卒業しているということを皆さん忘れておられるのではないでしょうか。
研究者の話題となるのはどこの大学を卒業してとか、海外のどこの大学に留学して、ということばかりが話題になります。
加藤
みんな小学校を卒業しているんだ。そこでの学びがあったのだということですね。
菅谷
教員養成大学はそのことを主張していくべきだと思います。みんな小学校を出ているんだぞと。
加藤
そうですね。学問の道を探求している方々は、きっと小学校や中学校でいい先生に巡り会ったのだと思います。
勉強なんてしても仕方ないなと思わせず、こつこつ勉強していればきっとこの先に何か見えてくるなということを教えてくれるいい先生に。
菅谷
菅谷文則氏ノーベル賞を受賞された大村氏も小学校の先生、中学校の先生に「君は大器晩成型だ。」と言われ続けていたということですが、私も小学生のときに当時あった優等賞のようなものをもらえたことがなかった。
私は四人兄弟で、私以外の兄弟はずっと学校で一番の成績でした。お前はほかの兄弟と違って勉強はしないし何でやと言われていました。
しかし、小学校4年生のときに出会った先生がそんな自分を変えてくれました。当時、私は九九が苦手だったのですが、その先生が九九のコツを教えてくれました。裏返して考えるということです。そこで私は目覚めました。それをきっかけに成績が一気に伸びました。算数以外の教科も全部です。そして、小学校6年生のとき初めて優等賞がもらえ、その後の中学校三年間も優等賞がもらえました。私にとっては学問というのは今でも裏返して考えるということです。定説を疑っていこうと。
加藤
クリティカルシンキングですね。私はそういう賞とは無縁でした。
菅谷
難しい言葉で言うとそうですね。
その先生には小学校4年生から6年生まで指導いただきましたが、物を調べる楽しさということも教えていただきました。私にとっていい先生の代表でした。逆に高校では悪い先生の代表と言える先生に出会いました。優秀な先生だったとは思うのですが、授業でその先生から言われた事が未だに心の棘になっています。
加藤
いい先生に出会うというのは大事ですね。
菅谷
やっぱりいい先生を養成しないと。一つはグローバルに物が言える人。もう一つ言えることは、ヒューマンとカインドを合わせたのがやはりエデュケーションではないかと思います。
今はどうしてもテクニックに走りがちではありますが、ぜひ、加藤学長のもとで新しい教育像を築いていただければと期待しています。
私も大学の教員として学生を指導していた経験があります。その時の教え子が新聞に取りあげられ、その記事の中で、作業が遅く考古学が好きなだけではやっていけない、考古学に向いていないのでは、と悩んでいたときに、私からこのような言葉を投げかけられたという体験談を紹介してくれています。
「手が遅いことも悪くない。時間をかける分、じっくりと向き合うことができる。」
この言葉が教え子の今の職業を決めたと聞いて、涙が出そうになりました。
加藤
加藤久雄学長いいですね。やっぱり覚えてくれているんですね。こういう時の一言で人生が変わりますよね。
その方の場合、その一言で人生が決まったんですね。教師の一言一言が大きな影響を与えるいいお話です。教育にたずさわって良かったと思える瞬間ですね。「まだできてないのか。普通はできているぞ。」と言われてしまっていたらそこですべて終わってしまいますね。
菅谷
今の日本はどうしてもケーススタディーを賞賛し、そちらばかりを重視してしまう傾向があり、ゆとりのなさを感じます。
教育の問題で言えば、例えば非行の事案に対して、ひとつひとつの要因を根源まで突き詰めていくのではなく、このような事案に対してはこのような方法、この事案にはこの方法、というようにケーススタディーがあまりに過ぎると駄目ではないでしょうか。
一定の画一的な教育はもちろん必要ですが、加藤学長の奈良教育大学では画一的な教育に加えて、柔軟な人材を育成する教育を推し進めていただければと思います。
加藤
大事なことですね。
本日のお話のまとめに入らせていただきますと、一つは運営費交付金の重点配分の問題です。
菅谷
そうです。これはシステムに問題があると感じています。
国へ声をあげ続けていくべきだと思います。教員養成はノーベル賞がある分野ではありませんが、特に義務教育を担っていく教員を養成することは、学問の発展、国の発展を考えたときに非常に重要であり、やはり教員養成にも重点を置くべきだと考えます。
加藤
二つ目は、教員の質の問題。
いい教員を養成していかねばならないこと。地域の人々から尊敬される教員の養成ですね。
菅谷
これは地域の意識も高めていかなければなりません。
地域のいろいろな分野から参画している我々経営協議会学外委員も巻き込んでいただいて、地域の教員に対する意識をいい方向へ変えていくということが必要になります。
加藤
本日は大変お忙しいところ貴重なお話をありがとうございました。
対談の様子
お問い合わせ先
奈良教育大学 総務課
TEL:0742-27-9104
E-mail:kikaku-kouhou

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