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平成29年度入学式を挙行しました。

Date2017/04/03

 平成29年4月3日、奈良教育大学講堂において、平成29年度入学式を挙行しました。

 満開の桜の下、331名の新入生が、緊張した面持ちで奈良教育大学での新たな生活をスタートさせました。

 加藤久雄学長からは、「4年後、2年後の4月も、本日の喜びにも勝る充実感を勝ち得て欲しい。」とエールが送られました。

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

 教職員一同、皆さんの本学での生活が充実したものになるよう、応援しております。

【新入生】

  • 教育学部 271名
  • 大学院教育学研究科 60名 (修士課程37名、専門職学位課程23名)

告示を述べる加藤久雄学長 宣誓する新入生代表
告辞を述べる加藤久雄学長         宣誓する新入生代表

■ 学長告辞


 本日ここに柳澤元学長先生をはじめ、名誉教授の先生方、後援会・同窓会の会長様のご臨席のもと、多数のご家族、並びに関係者の皆様にご参加いただき、奈良教育大学平成29年度入学式を挙行できますことは、奈良教育大学教職員の大きな喜びであります。

 はじめに、本日、ご入学の皆さんに、心より祝福の言葉を贈りたいと思います。皆さん、奈良教育大学へのご入学、おめでとうございます。また、ご家族や関係者の皆様にも心よりお祝い申しあげますとともに、本日、多数のご出席をいただきましたことに、お礼申しあげます。

 さて、本日、教育学部 学校教育教員養成課程 271名、大学院教育学研究科 修士課程 37名、大学院教育学研究科 専門職学位課程 23名、合計331名の新入学生を迎えることができました。あらためて、本学教職員を代表して、皆さんの入学を心から祝福し、歓迎いたしますとともに、皆さんの「学び」と「研究」に対する指導助言、大学生活に関する支援について、最大限の努力をお約束いたします。

 皆さんが本日の入学式を迎えることができましたのは、それぞれが小学校、中学校、高等学校と「学び」を積みあげてきた成果であり、ゴールでもあります。いろいろ、悩んだり、頑張っても、思うように結果が見えてこなかった日があったかもしれません。「合格」の知らせを受け取った時は、まさに「やった」という喜びと、充足感を実感されたことと思います。どうか、その思いを、一生、大切にして歩んで行ってください。

 本日、皆さんは、大学、大学院という学び舎に、自らの道の第一歩を記しました。それは、4年後の卒業、2年後の修了のあかつきには、社会人となり、自らの力で、自らの人生を切り開いていくという無限の可能性を、手に入れたことに他なりません。本学は、教育大学でありますから、教育学部の方は4年後、大学院の方は2年後、多くの方が、みごと教育の現場に、教師として巣立って行くことになるかと思います。しっかりと取り組んで、4年後、2年後の4月も、本日の喜びにも勝る充実感を勝ち得ていただきたいと思います。

 そのための学びが、本日から始まります。先ほども申しあげましたが、皆さんの「学び」と「研究」に対する指導助言、大学生活に関する支援について最大限の努力を、全教員と全職員がお約束いたします。小さな大学ならではの親密度が、うまく働くことになるかと思います。しかし、学びの主体は、皆さん自身です。そこで、皆さんに考えていただきたいことを3つほどお話しします。

 まず、皆さんに、ひとつお尋ねしたいことがあります。この1月に皆さんは、センター試験を受けたと思います。その成果をふまえ、本日、この席に座っているわけですが、来年1月、もう一度、センター試験を受けてみませんか。
 さて、今、私の提案を聞いて、皆さんは心の奥で、なんと思ったでしょうか。「絶対いやだ」「ウーン」と思った方が多いのではないでしょうか。普通は、そう思いますよね。
では、もし、センター試験の勉強なしで、来年、センター試験を受けたら、この1月の得点はキープできるでしょうか。絶対にキープできないと思う教科もあるかと思います。そして、大学に入ったのだから、「それでいいや。」と思うのが普通だと思います。私もきっとそう思うと思います。
 このことは、何を意味しているのでしょうか。英語能力の検定試験ならば、前回よりも、良い点を素直に目指します。そして、より上級の資格を獲得していきます。センター試験は、もう二度と受けることない試験、そして、センター試験で発揮した学力は、この1月までの学力なのでしょうか。
 私は、そんなことはないと考えます。センター試験の学びにも、十分、学びとしての意味があると考えます。将来、先生になる皆さんは、ぜひ一度、じっくり考えてみてください。近い将来、皆さんは、センター試験を目指す児童や生徒の前に立ち、センター試験で高い点数を目指す学びに携わるのです。試験がすんだら、どうでも良い学びに携わるわけにはいきません。

 2つ目には、大学での学びでは、今、この席で皆さんに考えていただいたように、「自分で考える」ということが、重要だということです。
 皆さんは、ヘレンケラーを知っていますね。日本には3度来ています。75歳、3度目の来日の時には、勲三等瑞宝章を叙勲されています。奈良にも来ています。奈良のホテルにも泊まり、東大寺の大仏にも行っています。ヘレンケラーと聞いて、映画や演劇のタイトルともなった「奇跡の人」というフレーズを思い浮かべた方も多いかと思います。ヘレンケラー、確かに、重い障害を乗り越えた奇跡の人かもしれません。
 さて、「奇跡の人」の原題は、「ミラクルワーカー」というものです。ここで、よく考えてみてください。原題は「ミラクルワーカー」というタイトルなのです。「奇跡のワーカー」「奇跡の働き手」。そうです。「奇跡の人」は、ヘレンケラーに奇跡をもたらした家庭教師のサリバン先生のことなのです。
 大学の学びでは、このように当たり前のこと、素朴なことにも疑問を持って、自分で調べることが重要な意味を持ちます。また、教師を目指す皆さんは、自分で考え、調べるということとともに、ミラクルワーカーと呼ばれたサリバン先生のことも一度調べてみてください。

 もうひとつ、まるで空気のような存在の日本語に例をとって、お話をしましょう。「な」と「ね」は、終助詞に分類されることは、中学2年生で勉強しました。では、「な」と「ね」は、どう違うのでしょうか。「きれいだね」と「きれいだな」はどう違うのでしょう。「ね」よりも「な」の方が少し乱暴かなと考えたかもしれません。
太郎君と花子さんが若草山に2人で登って、頂上から奈良の町を見下ろしました。
太郎君が
「きれいだね」
「きれいだな」
と言ったとき、どう違うでしょうか。

 「きれいだな」は、自分の感動の素直な表現ですね。一方、「きれいだね」には、隣にいて、同じ景色を眺めている花子さんもきっと、自分と同じように「きれい」と感じているに違いないという太郎君の気持ちが隠れているとは思いませんか。
 大学での学びは、このように既に知っていると思っていることを、もう一度考え直すことや、じっくりと自分で考えるという、発見学習、アクティブラーニングの要素が強いという特徴があります。
 さらに、教師を目指す皆さんは、子どもたちに「きれいだね」と話しかけるか、「きれいだな」とつぶやくか、その違いを常に考えながら進んでください。
 この発見学習、アクティブラーニングの学びの喜びをこの4年間、2年間に自らの学びとして体験してください。そして、全ての学びを「教育」と言うことと関連づけてください。

 日本は、子どもがどんどん減っていきます。少ない人口で、この社会を支えて行かねばなりません。11人で戦っていたチームがレッドカードの退場者が出て、10人で、いや9人、8人で戦うような状況を迎えています。
 日本の社会は、今後、ひとりひとりの役割がますます重要となっていきます。ひとりひとりを、しっかりと、はぐくむ営み、つまり、本当の意味での教育が、ますます重要となっていきます。

 本日からの皆さんの大学での「学び」には、「誰かに何かを教えるために学ぶ」「教育のために学ぶ」という特徴があります。それは、また、この社会の未来を左右する学びであります。
どうか、学ぶ喜びを知り、学び続ける教員、そして、ミラクルワーカーを目指してください。

最後に、ヘレンケラーの言葉を紹介しておきます。

 -本当の教育は知性と美しさと善良さを組み合わせたものです。
  そしてこのうち一番大切なものは善良さです。-

「ようこそ、教育の大学へ。」
「ようこそ、奈良教育大学へ。」

 本学教職員全員が、皆さんの「学び」を全力で支援します。一緒に学びましょう。皆さんの奈良教育大学での「学び」が、豊かで、充実したものになること、4年後、2年後、全員が教師の道を歩んでいることを確信して、告辞といたします。

平成29年4月3日  奈良教育大学長  加藤 久雄