総合教育課程

科学情報教育コース

 情報機器の操作(eメール、ワープロ、インターネット等を含む)は日常生活に浸透し続けていますが、科学情報教育コースではこのような現状の上に『情報』に更に積極的に対応するために数理科学、自然科学、応用技術などを'情報の立場から学ぶためのコースです。
 1回生から2回生にかけては、コース担当者によるコース共通科目が展開されますが、コース担当者は数学、物理、化学、工業などに関連した分野から構成されているため、それぞれに応じた内容の講義が展開されます。また2回生以上では情報数理、物質情報のそれぞれの専修に応じた専門科目が展開され、1回生の共通科目では、上回生で展開される専門科目を概観する意味も含まれています。そのため、情報数理(数学と情報科学)、物質情報(物理、化学、工業)に共通する情報の考え方もこの時点で身に付けることになります。また、計算機などに関連した代表的な講義は上回生でも共通に履修することが可能ですから、分野における専門性も身に付けながら、素養としての『情報』、専門性としての『情報』も身に付けることができるようにカリキュラムが作成されています。代表的なコース共通科目は以下のとおりです。


代表的なコース共通科目
●科学情報教育概論  情報数理、物質科学、情報技術等の各分野が如何に連携して、現代社会の重要な一面である情報化社会とかかわって行くかを学ぶ。
●数理と情報  数学と計算機の接点を3次元グラフィックスの基礎をテーマとして展開する。(VisualC++とOpenGL)。
●物質の世界  身の回りの物質の性質、構成を電子構造から視る。全体として、/8周期表の基礎となる物質の電子構造を理解できるようになることが目的。
●コンピュータデザイン入門  コンピュータを用いたデザイン(設計)の基礎となる製図法についての解説。

コースの卒業後の進路は情報、工学関連の民間企業などが考えられますが、教員免許状も取得することが可能となっています。

◇情報数理専修

 本専修では科学情報教育コースの共通の基盤の上にさらにより進んで数学と情報科学、およびそれに関連する話題を学びます。
 本専修における数学と情報科学の関連を一言で述べることは少し困難です。基礎としての数学の役割もありますし、プログラミングを通じて数学を学ぶこともありますし、数学を基礎において情報科学に関しての話題を扱うこともあります。計算機のみに関連してはWindows,UNIXなどのOSを扱い、プログラミング言語としてはC,C++を主に扱います。(VisualC++を使用したWindowsプログラミングも対象となります。)数学と計算機を取りまく環境には多種多様なものがありますが、本専修ではこれらをすべて網羅的に扱うことは控え、実践を通じて、より親しみのある『情報数理』を目指しております。
 数学の授業は無論選択することはできますが、それ以外にも次のような授業も選択することができます。
●情報科学入門I  情報科学に関わる基本的な概念、理論、技術を学習する。情報の基本概念を理解し、コンピュータにおけるハードウエアとソフトウェアの両面の理解を目指す。
●情報科学入門II  アルゴリズムとは何かを学び流れ図、構造化プログラミング、計算量などについて学習する。アルゴリズムの解析方法とプログラミング技法を習得し、理論と実際との比較を行う。
●計算機と暗号  昨今、インターネットなどで話題となっている暗号理論を概観する。主な内容は秘密暗号系、公開暗号系、署名方式などである。 
●エントロピーとシミュレーション  情報量としてのエントロピーについて数理的視点から理解を深め、いろいろなシミュレーションを試みる。
●コンピュータネットワーク  コンピュータネットワークの基礎技術を学習する。ネットワークアーキテクチャやネットワークプロトコルに関する基礎を学び、現状のネットワークが抱える問題点を把握する。
●情報通信システム工学  複数のコンピュータを接続し、通信回線を介して情報資源を共有する。通信ネットワークを構築するための、通信手段、プロトコル、実装方法(C言語)について学ぶ。
●システムプログラミング  UNlX-OS上でのデータ処理の実現手法を学ぶ。配列、ポインター、リスト、構造体などの効果的な利用方法を、UNIXのツール類のソースコード(C言語)を読み、体得する。

情報数理専修担当教員
浅井 照明 「数理と情報」「ウィンドーズプログラミングとデータベース」、「計算機と暗号」などの授業を担当。
河上 哲 「確率論」「数理統計」「フーリエ解析」「エントロピーとシミュレーション」などの授業を担当
伊藤 直治 「情報科学入門」「コンピュータネットワーク」「情報システム論」などの授業を担当。
加藤 久雄 「教師のための日本語情報処理」などを担当。
神保敏弥 「数理プログラミングI」などを担当。
南 春男 「基礎数学 A 」などを担当。
川崎 謙一郎 「基礎数学 B」などを担当。
藤原 公昭 「システムプログラミング」、「情報通信システム工学」、「マルチメディア概論」などを担当。


◇物質情報専修

○物質情報専修とは?
 物質情報専修では理科とくに物理学、化学、科学技術の視点から「ものをつくる」こと(合成)や「ものを知る」こと(物性)の基礎を学びます。科学技術立国を目指す我が国にとって新しい材料を開発し、生活を豊かで、便利で、安全にするために、ものの本質を理解するために基礎を学ぶことは重要です。自然科学をよく理解し、分かり易く人に伝えることのできる学生を養成したいと考えています。
○どんな勉強をするの?
 理科系の基礎的な科目、特に物理や化学を中心に学びます。1年次は共通科目を受講し、2年次以降は物理、化学又は技術のうちの一つを中心に学んでいきます。カリキュラムは選択必修科目が中心で、各自の興味や能力に合わせて時間割を組み立てていきます。高等学校で履修していない科目があっても、ほとんどの講義は高等学校の内容から大学の講義に連動するよう、未履修分野の学習支援もしています。
○教育大学の「総合教育課程」の中でどのようにして勉強していくの?
 この専修で勉強する学生には大きくわけて2つの道があります。1つは教員免許を取得せずに、より専門的な勉強をしていく道です。物理学や化学、情報技術などを深く学びたいという学生には対応するカリキュラムが用意され、より深い専門を学ぶことが可能です。
 また、専門を深めたい学生には理工科系の大学院へ進学する道もあります。もう一つの道は教員免許を取得する道で、中学・高校理科や高校情報、中学技術、高校工業等の教員免許が取得可能です。現在、在学生の7割以上が教員免許を取得する道を選択しています。ここ数年、複数の卒業生が中学・高等学校の教員になっています。
○教育学部の中の「理科系」って何?
 他の理工科系学部にはない本専修の特色として、「理解した事柄を相手の立場に立って上手に伝えることを目指す、プレゼンテーション能力を重視する」ところにあります。高度な専門家と一般の理科にあまり縁のない人々との掛け橋となれるような人になってもらえればと思っています。
 また、卒業研究では、物質の性質、反応性、応用技術を理解した上で、新機能性物質の創成、生体機能を有する人工感覚器の創出、地球に優しいエネルギー変換システムの開発、環境適合型プラスチックの創製等
を卒論テーマとしており、これらのテーマで卒論生との連名論文を世界に発信しています。
○どのような進路の可能性があるか?
 まず、次の2つの人材育成を目指しています。
1.相手の立場とニーズに合わせて、科学技術に関する内容を伝えることのできる表現力と説得力のある人材。
2.基礎学力とそれを多様に活用できる応用力と実践力のある人材。
1と2から次の進路先の可能性があります。
 技術インストラクター、技術マネージメント、技術開発(科学機器、半導体)、環境計測、科学技術教育関係出版、教育・理・工系大学院進学、教師。

よくある質問

Q1 教育学部で教師以外の就職の求人はあるの?
A1 教育学部理科系出身者で技術関係に就職した卒業生は大勢います。卒業生に対しては、社内報告会におけるプレゼンテーションや技術指導の仕方が優れているというよい評価をもらっています。専門分野以外の人にも自分の専門分野を理解してもらう表現力と説得力を身につけることも専修の目標です。
Q2 高校時代、私は物理が大の苦手でこれまで避けてきましたが、そのような私でも大丈夫?
A2 まずは何事も本人の努力、つまりわからないところは、参考書で調べたり、友人に尋ねたり、先生に聞きにいくことを薦めます。また、基礎ゼミや1回生の授業では、高等学校の教科書へフィードバックさせながら指導していくことも視野に入れています。むしろ、苦手意識を早めに捨てることであなたの視野は広がっていくのです。
Q3 大学院は理学系に進学したいが、教育学部では専門性が低いのでは?
A3 物質情報で展開される専門の基礎学力は、厳選しただけでなく、更に専門を独学で極めるための橋渡しの役目もしています。つまり基礎学力をしっかり身につけ、更に深めることによって理工系大学院進学が可能となってきます。物質情報専修の前身の物質科学専修では3名の実績(平成11年度)があります。専門のカリキュラムが選択科目となっているため、教育を重視した履修例以外に、専門性を重視した履修例を組むことができます。

物質情報専修担当教員
梶原 篤 新しい物質を創り出す科学
担当科目は「物質機能科学」「物質情報概論」「物質情報実験」など。
中田 聡 生命体がもつ環境適応性や秩序形成の仕組みを工学的に解明する研究を行っています。
堀端 眞彦 特に金属系材料の塑性変形挙動を中心に加工・処理の研究を行っています
中村 元彦 主に光を用いた固体物性の研究を行っています。
久保 武治 物性・磁性(NMR)、物理教育
森元 時夫 鋼およびセラミックスの摩擦摩耗に及ぼす潤滑の影響
山崎 祥子 新しい有機合成法の開発
山邊 信一 有機化学反応経路の理論的研究
松山 豊樹 素粒子論、場の量子論及び巨視的量子効果の研究



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