手作り絵本の楽しさ(梶田 幸恵 著) -奈良教育大学 出版会-
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52『正倉院ミニ絵本』(表紙)八・ミニ絵本を作る わたしがミニ絵本を作ることになったのは、正倉院展の宝物を見たのがきっかけです。千数百年も前に作られたものがすぐ傍で見ることができた感動を残したいと思いました。奈良時代に毛筆と墨で描いた文字と絵が今ものこっているのです。 そこで、わたしも墨と筆で正倉院の宝物のかたちを描き、赤、黄、青の三色を混ぜて色を塗りました。掌にのる小さい本ですが、ハードカバーをつけたので大きな絵本の製本方法と手順は同じです。 小学校教員免許に必修の「初等教科教育法 図画工作」を受講する学生と、正倉院展に毎年でかけ、鑑賞授業をしています。子どもを引率してきた時に教師として配慮すべきことを考え、また子どもが鑑賞する時の手引きとなるように「正倉院ワークシート」を作成するなどしています。さらに卒業後、全国各地で教職につく時に日本の伝統文化のすばらしさを子どもに伝えるために『ミニ絵本・正倉院』として作れば効果的だと考えました。 見ただけでは感動が薄れてしまいますが、絵に描こうとすれば見方が鋭くなります。さらにミニ絵本にすると引越ししても持ち運びが楽です。しかし、百人近い学生が受講するので、準備と指導が大変です。そこで効果的な指導方法をいろ『正倉院ミニ絵本』(本紙)

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