手作り絵本の楽しさ(梶田 幸恵 著) -奈良教育大学 出版会-
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76大切にします。詩を書けとはいいませんが、絵の力を信じて文章をできるだけスリムにし、絵と文章のバランスをとることが大事です。なぜ「世界でただ一冊」なのか《学生の感想より》 「市販のもののように質の高い絵本をひとりで作ることはとても難しいと思います。しかし(手作り絵本の世界は)素材も多様であるし、手作りならではの素朴さや温かさがあると思います。世界にひとつの作品になることも手作り絵本のもつ大きな魅力です。アイディアや工夫を深め、こころのこもった作品が作れればよいと思います。」 「市販の絵本にはないあたたかさが、手作り絵本にはあるように思います。不揃いな絵本や文字、創意工夫された中身、あまり長くないストーリーの中には、さまざまな思いや苦労がつまっていました。」 手作り絵本は「世界で一冊しかない」といいます。それは、手作りなので一冊しかない(同じものを何冊も作れない)という、物理的な理由だけではありません。もうひとつの、もっと大切な(本質的な)理由があります。それは、手作り絵本があなたとあなたが選んだ相手との、顔をつき合わせての(直接的な)対話のツール(用具、手段)だということです。

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