手作り絵本の楽しさ(梶田 幸恵 著) -奈良教育大学 出版会-
7/73

14奈良の都で天災がおこるり絵本講習会」を開くというので学生と一緒に参加しました。その時に出会ったのが講師の加藤啓子さんでした。五回の講習会の前半は、新聞のカラーページを使って貼り絵で絵本を作ることと、ハードカバーの製本技術を学びました。後半は自由制作で物語を自分で考え、絵も製本もひとりでやり、「世界に一冊しかない絵本」を作りました。わたしは仙台から奈良へ引越してすぐのことで、奈良の歴史を調べ、日本伝統文化の発展に貢献した女性に焦点を当てました。そして『光明皇后』という絵本を作りました。自分で作ってみてはじめてプロの絵本作家の苦心や工夫を思い知ることができ、市販の絵本の見方がかわりました。 このことがきっかけで、加藤さんを「幼児の造形表現」の授業のゲストティーチャーとしてお迎えし、絵本の読み方と作り方を学生に教えていただきました。 加藤さんを中心とした仲間の方々のお力添えで、平成十七年に奈良教育大学学術情報研究センター図書館に「えほんのひろば」を創設することができました。このえほんのひろば(当時は附属図書館)で、市販の絵本と学生たちが作った手作り絵本を見ることができるようにと計画しました。  毎年、学生は、自分たちで企画運営をして『手作り絵本と二十歳の自叙伝絵巻展』を開いてきました。構内にある明治時代のレンガ建築の教育資料館を展示会場として、地域の人たちや子どもたちに、簡単な手作り絵本の作り方を伝え

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です