手作り絵本の楽しさ(梶田 幸恵 著) -奈良教育大学 出版会-
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77 自分自身の手ですべてを手作りし、ついでに作る過程も楽しみ(あるいは苦しみ)、そしてできあがった、あなたの「想い」のいっぱい詰まった手作り絵本を、自分の親しい人たちに楽しんでもらおうと思って作っています。見方をかえると、売りもの(商品)ではなくて、親しい人へあなたの「想い」を伝えるための贈りものだということです。これが、大切な(本質的な)もうひとつの理由です。丁寧に、失敗をおそれず絵本を作ってみましょう 手早くすると上手だと思い、丁寧にしていると、のろくさいとか下手だとか、やる気がないと思いがちです。しかし手早さは粗雑さと背中合わせで、ひとつ間違えば期待はずれの結果を招きます。また、丁寧にするのとのろくさいのとはちがいます。 丁寧さは、はじめはのろくさいように見えますが、基本を丁寧に守っていると、「きちんとするべきもの」と「省いてもよいもの、ゆとりをもってよいもの」とを見分けることができるようになります。 そうなると、無理・無茶・無駄がなくなり、手早くできるようになるだけでなく、できばえにバラツキがなくなります。これを手際がよいといいます。コツ(ノウハウ)を飲み込めたというのはこのことです。 それに、人は慣れないうちだけでなく、手際のよい人でもやはり失敗すること

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