日本の唱歌と太平洋の賛美歌(安田 寛 著) -奈良教育大学 出版会-
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17と安心しました。で、あらためて唱歌について簡単に説明していただけますか。 唱歌と言いますと、みなさんたいていご存知だと思いますが、さきほどの「故郷」「春の小川」の他に、よく知られているものといえば「おぼろ月夜」「われは海の子」「日の丸」といったところでしょうか、古い歌だし、今はもう作られていない昔の歌ですから、ふだん歌っているのは小学生たちですね。 あまりご覧になることはないと思いますが、「学習指導要領」というのがありまして、その音楽のところを見ると、一学年から六学年まで「歌唱共通教材」というのがあります。これは日本全国どの小学校でも必ず教えなければいけない必修の歌なんですね。その中には先ほどの童謡「夕焼け小焼け」や江戸時代から伝わる日本古謡と言うのでしょうか、そういう歌もありますが、ほとんどは「唱歌」です。ーわかりました。唱歌は今日学校で必ず教えられる古い歌、ということですね。 はい、あと年配の方にとっては昔を思い出す懐かしい歌、どこか郷愁をおぼえる懐かしい歌、そういう歌だと思います。§3 研究の面白さー確かに。老人ホームなんかでお年寄りが歌っている光景ですよね。でも、先生、失礼かもしれませんが、素人の私たちには、そんな歌を研究して何が面白いんだろ

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