日本の唱歌と太平洋の賛美歌(安田 寛 著) -奈良教育大学 出版会-
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22が理由の一つです。ー唱歌は讃美歌から生まれたのですか? 讃美歌の旋律を使ってそれに新しい歌詞をつけて唱歌が出来ました。ーこれまでは外国の民謡、イギリス民謡だとかドイツ民謡が唱歌の元だと言われていましたが。 その通りです。でも私はそれよりも唱歌の元になったのは讃美歌だと考えています。外国の民謡と言われるものも、実は当時は讃美歌として普及していましたし、唱歌の中で成功したものは讃美歌が元になっているものが多いのです。ー讃美歌の影響に注目されているようですが、その説に反対はありませんでしたか。 もちろん、新しい考えを出すと反対はつきものです。代表的なのは、日本ではキリスト教の信者がとても少ない。多めにみても人口の二パーセントになるかどうかです。このことから考えても、日本の音楽にキリスト教が影響したと考えるのはおかしいというものです。もっともな反論だと思います。簡単に言いますと、たった二パーセントにもならないくらいだから、日本はキリスト教の影響をほとんど受けなかった。音楽もそうだ、という考え方です。 確かに日本よりおよそ二十年遅れてキリスト教伝道が開始された韓国では、キリスト教信徒が総人口の四割近くになっていますし、例えばパプア=ニューギニアでは総人口の九十五パーセントがキリスト教信徒です。ですから韓国では自分たちの新しハワイの讃美歌集 「Ka lira Hawaii」 (1844年)に載っているGreenville ( 「むすんでひらいて」 )の旋律 フェリス女学院大学附属図書館所蔵

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