日本の唱歌と太平洋の賛美歌(安田 寛 著) -奈良教育大学 出版会-
19/73

26しゃいました。この言葉を使いますと、日本以外のアジア太平洋のどの地域でも、彼らが歌った新しい歌というのは讃美歌のことだったけれど、日本人が歌った新しい歌には、讃美歌の他にも唱歌があった。 上手いこと言いますね。そうなんです。それくらい讃美歌のインパクトは強烈だったようです。もう讃美歌しか歌わなくなったと言ってもいいくらいじゃないでしょうか。§6 インターディシプリンーここまでお話をお聞きしてちょっと気になってきたことがあるのですが。先生が今なさっている研究は分野で言いますと何になるのでしょうか。音楽史のようですが、それとも少し違うような気がしますし、音楽教育史の範囲からもはみ出してしまうようですが。 そうですね、音楽史と言えば日本ではまず西洋音楽史ですね。それから日本の音楽史とか東洋音楽史はありますが、でも私が今研究している太平洋の讃美歌の歴史研究というのは、まだ存在していません。それにこれまでの音楽史では扱いませんしね。この地域の音楽を対象に研究しているのは民族音楽研究ですね。それについて面白い話があります。 実は昭和九年に、ミクロネシアの民族音楽を調査した学者がいました。彼がミク民族音楽比較文化音楽学音楽教育史唱歌の学際的解明

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です