日本の唱歌と太平洋の賛美歌(安田 寛 著) -奈良教育大学 出版会-
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35ーまさか今の日本のように、政府の援助資金というわけにはいきませんものね。 そうです。当たり前と言えば当たり前なのですが、寄付です。信者からの寄付です。普通の信者さんたちが出来る範囲でしてくれた寄付を集めるわけです。教会に行かれた方はご存知だと思いますが、礼拝のどこかで必ず献金の時間があります。帽子ではありませんが、それに似た棒のついたようなものとか、献金籠が回ってきまして、それになにがしかのお金を入れます。全くあれと同じです。 アメリカでも小さな村や町にある教会一つ一つでそういうふうにして集めたお金をさらに支部で集めて、それをさらに大きな州単位で集めて、最後に伝道団の本部に集める。そういう形で小額の寄付を集約していきます。こうして一人ひとりの信者さんから集めたお金で、宣教師を海外に派遣して現地での活動を援助しました。ーなるほどそうですか。まあ、考えてみたら布教活動は利益の上がる活動ではない、ある種無償の行為ですものね。 出版物の売り上げとか多少の収益はあったでしょうけどね。本国でも宣教雑誌の売り上げという収入源もありました。後は、大企業のオーナーとかお金持ちからの多額の寄付だとか、遺産による多額の寄付というのもありました。ーそういう面から見ますと、キリスト教海外伝道というのはアメリカの場合、アメリカという新興国家の国力の増進の象徴にも見えますね。ところで日本にもかつてはたくさんの宣教師がやってきたのですか。

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