日本の唱歌と太平洋の賛美歌(安田 寛 著) -奈良教育大学 出版会-
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39立しません。南の島では、これが彼らにとってもっとも楽しいプログラムで、歌うために教会に集まってきたという面もありそうです。 それは置いておきまして、信者になったら必ず身につけなければいけないことの一つが讃美歌が歌えるということです。教会に集まってきたものの、誰も讃美歌が歌えないでは、礼拝になりません。ですから言い換えますと、信者さんを作り出すためには音楽教育が必要なのです。そもそもヨーロッパでも音楽教育の起源の一つに教会での歌唱指導があります。という理由で、宣教活動の中に現地の人たちに讃美歌を教えるという活動が当然入ってきます。§1 1 讃美歌集の仕事ー今讃美歌が話題になっていますが、讃美歌といいますと私たちでもいくつか聞いたことはありますが、具体的に目に見える形では、今でも本屋さんに行きますとあるコーナーで売っていますね。讃美歌集というのがありますね。あれが一つのそういった活動の形なのでしょうか。 ええ、そうなんです。いわゆる現地で、例えば日本なら日本にいた宣教師たちは讃美歌集を出版します。それは英語の讃美歌集をそのまま日本で出版するのではありません。大きな仕事は、英語で書かれた元の讃美歌の歌詞を翻訳することです。ポナペで1858年に出版されたポナペ語教科書出典:Specimens of printing at Ponape [microrms](1857?) Ponape: s.n. / Hawaiian Mission Children's Society所蔵

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