日本の唱歌と太平洋の賛美歌(安田 寛 著) -奈良教育大学 出版会-
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40 伝道活動の一番はじめの頃は、原語である英語でそのまま歌うということはあったと思いますが、いつまでもそういうわけにはいかない。やはり現地にキリスト教が根づいたという証拠、あるいは根づかせるためには、日本の場合ですと讃美歌をどうしても日本語で歌わなければいけない、そういうことが起こってきます。そこで英語の讃美歌を日本語に翻訳して歌わせる。そしてある程度その翻訳が集まった時に日本語の讃美歌集として出版する。こういう形になるわけです。ーなるほど。歌詞を日本語に翻訳することで日本語の讃美歌集が出来るわけですね。ある意味ではそれは音楽の教科書ですね。その教科書によってキリスト教信者は讃美歌を覚えていく。そういう経過になるわけですね。 全くその通り、そのように考えてもらっていいと思います。§12 宣教師は歌が上手だったのかーよく分かりました。キリスト教の布教にとっては讃美歌を教えるという教育活動が重要であった、ということですね。だったら、宣教師は歌も得意でなければなりませんね。実際そうだったのですか。 中にはね、日本の場合でも、もともと音楽の得意な宣教師もいました。でもそのような宣教師は歌を歌いに来たのか伝道に来たのか、と揶揄されるようなこともあっ

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