日本の唱歌と太平洋の賛美歌(安田 寛 著) -奈良教育大学 出版会-
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45 ですから私が今注目しているアジア太平洋地域の讃美歌の普及にとって、独身の女性宣教師の活躍が非常に大きなウエイトを占めている、そういう風に考えています。§13 どんな人が宣教師になったのかーそれにしても当時は十九世紀ですから、全く風習も言語もいわゆる文化が全く違う地域に出かけて行って、全く別の宗教をその人たちに布教する、信じこませる、よくもそんな活動をと普段の私たちの生活からは考えられないのですが、その辺りはどうなんでしょうか。 もっともな疑問だと思います。私も自分の研究の必要からキリスト教海外伝道についていろいろ本を読んだり文献を調べたり、時には宣教師が書いた手紙を読んだりして、普通の人よりは知識があると思いますが、まだまだ分からないことだらけですね。表面的なことで言えば、そもそもキリスト教は、誕生直後から海外への布教とそれによって受けた迫害の歴史がずっと続いている宗教です。今で言うパレスチナで起こった新しい宗教はそこからギリシア世界、ローマ世界へと広がって行きます。それはキリストの弟子たちの伝道活動ですね。その時、根拠になったと言われている聖書の文句は「だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい」、マタイ二八・十九でした。(『新約聖書』日本聖書協会、以下同様)

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