日本の唱歌と太平洋の賛美歌(安田 寛 著) -奈良教育大学 出版会-
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47ーそれは私たちがなんとなく宣教師に抱いている、頑固で厳しいイメージとよく重なりますね。 そうだと思います。彼らが保守的な宗教家だったことをまず頭に置いてもらって、私がさっき言いかけました体験でなるほどと思ったのは、今の若い人たちはほとんど読まないかもしれませんが、パール・バックというアメリカの作家がいます。代表作は『大地』で、それでピューリッツア賞をもらったり、ノーベル文学賞も受賞した作家です。 パール・バックは中国に伝道に行った宣教師の家庭で育った女性です。彼女が自分の父、中国に伝道に行った宣教師ですが、その父について書いた本があります。今は出版されていなくて、絶版ですので、図書館で読むか、古本屋で見つけるしかないのですが、日本では『戦える使徒』というタイトルになっています。「使徒」と訳されている元の言葉はエンジェルです。直訳すれば「戦う天使」ということになります。お父さんのいわゆる伝記を書いたものです。 この本を読んだ時に、宣教とはこういうことだったのか、宣教師になるというのはこういうことだったのか、とはじめて納得しました。ーでしたらその一節を紹介していただけますか。 ええ、そう思ってここに用意してあります。パール・バックのお父さんがどうして外国宣教師になったのか、そのきっかけを述べた件がありますパール・バックの家族の写真(1901年頃)Pearl S. Buck International 提供

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