日本の唱歌と太平洋の賛美歌(安田 寛 著) -奈良教育大学 出版会-
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54の日本を想像しても分かりますが、同じ頃のミクロネシアですか、そういった島々も同じだと想像出来ますが、彼らが普段親しんでいた音楽と讃美歌とは随分違った音楽だったのでしょうね。 そうだと思います。ーだとしたら、どうしてそう簡単に入れ替わってしまったのか不思議です。音楽文化というのはそんなに変わりやすいものなのでしょうか。彼らが普段親しんでいた音楽と讃美歌とがもしもあまりにも違った音楽だとしたら、なぜそんなに簡単に讃美歌を受け入れたのだろうか、普通なら、奇妙とか、理解出来ないとか、不思議とかそういう感情が起こって、なかなか受け入れないのじゃないかと思うのですが、どうなんですか。 彼らが普段親しんでいた音楽、昔からずっと親しんで来た音楽と讃美歌とを簡単に入れ替えたことにはいくつか理由が考えられます。 一つは、それが宗教音楽だったからでしょう。一度キリスト教に改宗してしまうと、讃美歌は唯一の適格な音楽ですから、古い宗教に関わる諸々の物品を廃棄して用のなくなった古い音楽は廃棄したと考えられます。もう一つは、新しい文明の魅力です。文明の力に魅了されたということが考えられます。そのいい例がオルガンです。 日本では足踏みオルガンという通称で知られています。正式にはリードオルガンと言います。日本では今ではピアノに変わってしまいましたが、数十年前までは、

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