日本の唱歌と太平洋の賛美歌(安田 寛 著) -奈良教育大学 出版会-
70/73

77あとがき                             このインタビューのお話を頂いた時、内容は高校生にも理解出来るもの、ということでしたので、そのようにお話ししてみました。ただ、高校生ですとまだここに書いたような内容に関心を持つ時期ではないのではという不安が残ります。自分が日本人であることを意識して、じゃあ、自分と音楽との関わりはどうなんだろう、そういう関心、そういうテーマを自分の中に持つにはもう少し年齢を重ねる必要があるように思います。高校生ですと、もう生まれた時から自分の意識と関わりなく周囲に音楽という環境があったわけで、その中から本人の意識はどうであれ偶然にいろんな音楽を選んで聴いているわけですから。そこに何か問題があるなんてことはとても考えられないでしょう。 僕は団塊の世代と呼ばれている世代に属する人間ですが、高校時代によく巷で言われているようにビートルズに夢中になっていたわけではありません。でも、当時、アメリカからやってきたポピュラー音楽はかなり聴いていました。ベトナム反戦をテーマにしたピート・シーガーのフォークソング「花はどこへ行った」とか、アラモの砦を舞台にした映画のテーマソングとかです。 当時はそういう音楽環境だったのです。これらの音楽は今どこへ行ったのでしょう。若い人たちに説明しようとしても全く話が通じません。借り物で根無し草のそ

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です