どんな情報が記憶に残るのか? -記憶を促す情報のタイプ-(豊田 弘司 著) -奈良教育大学 出版会-
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- 2 - 多くの情報が付加されると憶えるべき単語(記銘語)が想い出される可能性が高くなります。情報を想い出すことを、心理学では情報を記憶の貯蔵庫から探すという意味で検索と呼びます。情報を検索するには、手がかりが必要です。手がかりを利用して、記銘語を検索します。Fig.1のように、記銘語が直接、想い出されない場合(×印で表示。記銘語から出力口へつながるルートが閉鎖されている場合)に、付加された情報が手かがりとなって、その手がかりを経由して想い出されるのです。付加される情報が多いほど、想い出す手がかりが増え、その結果、検索するためのルートが増えるので、想い出す可能性も高まるのです。言い換えれば、出力口から、まず、手がかりに手を伸ばし、そこから芋づる式に記銘語に手を伸ばして、記銘語を引っぱりだすようなイメージです。記憶に残る情報とは、このように多くの情報が付加されている情報なのです。 記銘語 情報の出力口 Fig.1 記銘語の検索イメージ でも、どんな情報でも多ければ良いというものではありません。質の良い情報を付加しなければ、効率よく想い出すことができないのです。

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