物質をつくってはかる(梶原 篤 著) -奈良教育大学 出版会-
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- 4 - CH3CH3CH3CH3OOCCH3CH3CCH2=CCH3C=OOCH3CH3CH3C+CHHCCH3COOCCH3CH3CH3h-600-400-2000200400600330335340345150 oC-50005003303353403452 mT30 oC-600-400-200020040060033033534034590 oC このように同じような物質の少しの構造の変化や温度の変化を調べていくと化学反応の途中の段階でどのような物質が存在しているかを調べることができ、まるで見てきたような話をすることができます。大学ではこれまでまだ世界中で誰も観察したことのない原料の反応の途中段階を観察する研究をしています。卒業研究でもまだ誰も成功していない測定を行うことが一つの課題です。 3.化学反応が始まる様子を観察するには ここまでは、ラジカル重合反応の途中段階でできている反応性の高いラジカル種(成長ラジカルといいます)を観察した結果を示してきましたが、ここからは、ラジカル反応が始まるときのようすを観察した結果を紹介します。この実験方法は時間分解ESRとかCIDEPなどと呼ばれます。CIDEPは(Chemically Induced Dynamic Electron spin Polarization)の略で、日本語では化学的に誘起された動的な電子スピン分極といいます。レーザーパルスを短時間当てて開始剤を切図 2 メタクリル酸tertブチルのラジカル重合反応(左)と 成長ラジカルのESRスペクトルの温度による変化(右)

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