勝つための食事 -持久力増大のための食事法-(中谷 昭 著) -奈良教育大学 出版会-
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- 1 - 勝つための食事 -持久力増大のための食事法- 奈良教育大学 保健体育講座 中谷 昭 1.はじめに 「腹が減っては戦はできぬ」と言うことわざがあります。お腹がすいていては良い働きができないというたとえです。スポーツも同じで、しっかりと食事をして試合に臨まないとよい成績をおさめることができません。一方、「敵に勝つ」という言葉になぞらえて試合の前にビーフステーキとトンカツを食べるという人がいますが、果たしてこの食事で試合に勝てるのでしょうか。スポーツはその種目の特性に応じて必要な体力が異なります。短距離走や跳躍種目は瞬発力、マラソンは持久力が必要です。野球やサッカーなどは瞬発力や持久力など複数の体力が求められます。従って、スポーツ選手の望ましい食事はそれぞれの種目特性に応じて異なってくると考えられます。この食事をすれば練習をしなくても試合に勝てるという食事はありませんが、練習や試合において最高の力を発揮するためには、正しい食事をする必要があります。ここでは、特にマラソンのような持久的運動における食事法とその原理についてお話ししたいと思います。話の内容は次のようにまとめることができます。 ○持久力は酸素をどれだけ取り込むことができるかが勝負 ○試合で良い成績を収めるには食事も大切 ○持久力は運動前の筋グリコーゲン含量で決まる ○試合前は糖質中心の食事に ○糖輸送担体(グルコーストランスポーター)の働き

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