手の大きさに適した包丁を使って料理上手になろう -子ども用包丁の開発-(鈴木 洋子 著) -奈良教育大学 出版会-
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- 9 - 5.おわりに 食育基本法(2005年)の制定以降、各地で様々な食育の取り組みが行われるようになりました。子どもを対象とする食育は学校、家庭、地域が三位一体となって進められることが肝要ですが、学校は家庭と地域の先導的立場にあります。食育では食習慣や食料経済、食文化などの食をめぐる課題を広範囲に扱いますが、中でも早期から取り組みたいのが調理技能・技術の習得です。子どもの生活自立力を高めるには、自発的な体験活動の蓄積こそが重要だからです。五大栄養素の名前を知っていても、たんぱく質を摂取するのにどのような食品を食べればよいのかがわからなくては、栄養に関する知識は無駄になってしまいます。卵にたんぱく質が含まれることを知っていても、ゆで卵と目玉焼きの調理方法しか知らないと、毎日同じような料理を口にすることになってしまい、食べる楽しみが薄らいでしまうことでしょう。子どもの食生活改善の打開策は、体験的要素に富む調理にあると考えています。 [ 引用文献 ] 1) 鈴木良次『手のなかの脳』東京大學出版会(1994年) 2) 鈴木洋子『児童が使いやすい包丁の大きさと重さの選定』日本官能評価学会誌第4巻2号pp19-24(2000年) 3) 鈴木洋子『児童が使いやすい包丁の柄と太さの選定』日本官能評価学会誌第4巻2号pp25-30(2000年) 4) 鈴木洋子『包丁技能習得のための被切断物の大きさ』日本家政学会誌第33巻9号,53-61頁(2004年) 5) 鈴木洋子『開発した子ども用包丁の技能取得への効果』日本家政学会誌第573号 pp27-35(2006年) なお、このE-bookは、本学ブックレット「食べる力は生きる力 -クッキングからはじめる食育-」(東山書房)の一部をもとに執筆しました。

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