手の大きさに適した包丁を使って料理上手になろう -子ども用包丁の開発-(鈴木 洋子 著) -奈良教育大学 出版会-
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- 1 - 手の大きさに適した包丁を使って料理上手になろう -子ども用包丁の開発- 奈良教育大学 家庭科教育講座 鈴木 洋子 1.はじめに 食品加工の技術が進み、自分で調理をしなくても食卓を整えることができます。しかし、自分で料理を作れる力量があると、安全に配慮して食材を選択し、自分好みの味に仕上げることができます。経済的にも利があります。出来合いのものを選ぶ時の「目」も育ちます。調理をするうえで欠かせないのが、包丁です。スライサーやフードプロセッサーなどの便利な器具もありますが、包丁は1本で切ったり、剥いたり、刻んだりと色々に使えます。 昭和の時代に育った子供たちは、庭になっている柿を剥くのに果物ナイフを使ったり、竹で水鉄砲を作るのに小刀を使ったりと、小学校の家庭科で大きな包丁を手にしてもそれ程恐怖は無かったように思えます。しかし、昨今の子どもたちは刃物を手にする機会が減っているので、家庭科室にある成人用の大きな包丁を怖がる子もいます。そこで、子どもの手の大きさにふさわしく、切断時の負担が少ない包丁を作ろうと思い、十数年間に亘り研究を続けてきました。 先ず、包丁の大きさと重さと柄の太さに注目して、子ども用包丁を開発しました。次に、練習時に使用する被切断物(切る物)の大きさが技能習得に影響を及ぼすことから、練習時に使用する被切断物の大きさについて検討しました。そして、被切断物の大きさに関する研究結果を取り入れて、開発した子ども用包丁の技能習得上の効果を調べました。

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