手の大きさに適した包丁を使って料理上手になろう -子ども用包丁の開発-(鈴木 洋子 著) -奈良教育大学 出版会-
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- 3 - 図2 包丁の把持力とまな板への荷重 包丁間の把持力については、低学年と高学年と成人は1%の有意水準で、中学年は5%の有意水準で差が認められ、いずれの発達段階においても菜切り包丁を使用した際の把持力が小さいことがわかった。まな板への荷重値については、包丁間、児童の学年間ともに検定の結果差が認められなかったが、成人のまな板への荷重値はいずれの包丁においても、児童の値より低かった。成人と児童を比較すると、菜切り包丁の把持力が同程度であるのに対し、むきもの包丁と果物包丁の値は成人の方が児童より高かった。児童に比べ手指の大きい成人が、小さい包丁を使用する場合は、余分な力が切断時に必要とされると推察する。 柄の太さの選定には図3に示したむきもの包丁をもとに作製した包丁を使用しました。児童の手指の大きさと使いやすい柄の太さの関係を官能検査により調べた結果、従来の包丁のサイズに合わせた設定よりも、使用者の手指の大きさに応じて柄の太さを選定するのがよいことを確認しました。 図3 柄の太さの選定に用いた包丁 0200400600800菜切り包丁むきもの包丁果物包丁 N低学年児童包丁把持力 低学年児童まな板荷重 中学年児童包丁把持力 中学年児童まな板荷重 高学年児童包丁把持力 高学年児童まな板荷重 成人包丁把持力 成人まな板荷重  いずれの包丁も、重量は60g、全長は215mm、柄の長さ105mm、重心は刃の付け根部分。 上段:包丁細(本来の柄) 中段:包丁中(通常は菜切り包丁に使用する柄) 下段:包丁太(通常は出刃包丁に使用する柄)

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