手の大きさに適した包丁を使って料理上手になろう -子ども用包丁の開発-(鈴木 洋子 著) -奈良教育大学 出版会-
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- 4 - これらの研究の成果に叶った包丁の製作を岐阜県関市の刃物業者さんに相談したところ、大きさは小ぶりの割には重さが100g程度で、重心が刃の付け根にある包丁を、巧みの技術で作ってくださいました。子ども用にと開発した包丁ですが、シニア層の皆様にも使いやすいと好評です(図4)。 図4 製品化された子ども用包丁 3.包丁技能習得のための被切断物の大きさ4) 限られた学習時間内に効率よく安全に技能を習得させることを目的に、「きざみ」の練習に用いるとよい被切断物の高さと幅を、寒天ゲルを用いたモデル実験により検討しました。被験者は大学生28名(男10名、女18名)で、文化包丁(全長30.5㎝,165g)を使用しました。また、包丁に加速度センサーを取り付けて、動作解析を行いました(図5、図6)。その結果、「きざみ」時の包丁操作には、被切断物の高さよりも幅の影響がみられ、切断後の被切断物の状態については若干ではあるが幅より高さに影響がみられることがわかりました。動作解析からは、非熟練者の場合は幅の広い被切断物を切断した際に、包丁を振り上げてから切断を開始するまでの時間(非切断時間)が熟練者に比べると長いことがわかりました(図7)。 全長21.9㎝ 刃渡り10.7㎝ 最大刃4.0㎝ 重さ100g 柄の太さ長径1.8㎝ 柄の最大周囲6.3㎝ 図5 測定風景、加速度計の測定方向

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