手の大きさに適した包丁を使って料理上手になろう -子ども用包丁の開発-(鈴木 洋子 著) -奈良教育大学 出版会-
7/12

- 6 - 校第2学年~6学年児童の無作為抽出による24名(男子3名 女子21名)です。1種類の包丁を8名が使用するように、学年、身長、性別に配慮してグルーピングしました。最初にきゅうり10cmの切断を行い、次に、2.5㎝角柱の寒天ゲルを用いて2mm程度のうす切りの練習を20分程度行い、練習後に再びきゅうり10cmを切断しました。使用した包丁を図8に示しました。さらに、これら3種の包丁を使用して、硬さの異なる被切断物(バナナ、きゅうり、だいこん、にんじん)を切断した際の、包丁の動きの違い等を映像による動作解析他により調べました(図9)。 その結果、児童の包丁技能の習得には成人用の大きさ重さの包丁より、むきもの包丁や開発した子ども用包丁が適し、むきもの包丁と開発した子ども用包丁では、重さがある子ども用包丁のほうがさらに練習効果が上がることを明らかにしました(図10、図11)。硬さの異なる被切断物を切断した際の動作解析からは、切断操作に個人差の影響が少ない子ども用包丁が、集団指導において有効であることがわかりました(図12)。また、にんじんのように硬い被切断物を切断する場合、子ども用包丁の使用は、包丁の動きに無駄が少なく勢いがあるが、むきもの包丁のように小ぶりの包丁や、子ども用包丁より大きい成人用の包丁では、包丁の動きに勢いがなくなることがわかりました(図13、図14)。その理由については、これまでの研究結果より、小ぶりの包丁については力の負担が大きくなることが、成人用の包丁については大きさからくる恐怖感が影響していると推察しました。 以上の一連の結果より、子どもの手指の大きさと把持力に配慮して開発した子ども用包丁の使用が、包丁技能の習得に効果的であることを確認しました。 図8 実験に使用した包丁 上段:むきもの包丁(全長21.5㎝、刃渡り10.5㎝、最大刃幅2.8㎝、重量50g) 中段:開発した子ども用包丁(全長21.9㎝、刃渡り10.7㎝、最大刃幅4.0㎝、重量100g) 下段:成人用包丁(鋼製、全長30.5、刃渡り17.7㎝、最大刃幅4.5㎝、重量165g)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です