葛水・葛葉の抗酸化能とその利用(杉山 薫 著) -奈良教育大学 出版会-
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- 9 - 図4に葛水乾燥粉末または葛葉乾燥粉末添加クッキーのPV変化を示しました。無添加クッキー(対照)では全Aw領域で保温開始6日以内にPVの上昇がみられますが、葛水乾燥粉末添加クッキーでは低Aw領域ではPV上昇がみられるものの、中間~高Aw領域ではPVの上昇は抑えられました。葛葉乾燥粉末添加クッキーでも同じ傾向がみられています。以上より、干菓子の範疇に入るクッキー(約Aw0.4)で利用するよりも、半生菓子であるバウムクーヘン(約Aw0.7)やカップケーキ(約Aw0.8)などに利用する方が有効であることが示唆されました。葛水は葛根から水抽出しているため、現時点では薬事法の規定で食品に添加して販売することができませんが、今後未利用機能成分として食品添加物の承認を受ければ抗酸化機能が十分に発揮できると思われます。抗酸化能に対するAwの関与の詳しい機構は明らかにされていませんが、水分子による油脂と酸素の物理的な遮断を考えています。葛水乾燥粉末、葛葉乾燥粉末を添加し図3 葛水・葛葉乾燥粉末試料の PV変化 図4 葛水・葛葉乾燥粉添加クッキーの PV変化

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