地域をつくる -地域居住学の視点から-(立松 麻衣子 著) -奈良教育大学 出版会-
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- 1 - 地域をつくる -地域居住学の視点から- 奈良教育大学 家庭科教育講座 立松 麻衣子 1.はじめに 地域には人の様々な活動があります。人は地域のなかで生まれ、育ち、老いていきます。地域を舞台にしたそのライフコースのなかで、私たちは、住む、学ぶ、働く、交流するなどを行います。さらに、住むことのなかでは、着る、食べるなどの生命を維持するための行為とそれを支える消費行為を行います。その他にも、遊ぶ、運動する、創る、捨てるなどの文化的行為や、喜ぶ、怒る、愛する、楽しむなどの感情的行為など、私たちは実に様々な活動を地域で行います。そして、私たちの様々な活動を支えるために、地域には様々な機能があります。居住、医療、福祉、教育、学習、雇用、商業、産業、娯楽、文化、環境…。地域には、人々がその人らしさを追求して幸せに暮らしていけるように、人々の活動と機能の質を高め、持続可能な地域を創ることが求められます。 ここでは、住民が地域をつくるということについて、説明していきます。 2.いま地域に求められること わが国では、都市や地方を問わず、1人暮らしで生活する人が増加しています。国立社会保障・人口問題研究所が2010(平成25)年の国勢調査をもとに将来推計を行った結果では、2010~2035年の間に、単独世帯の割合は32.4%から37.2%へと増加することが予想されています。そのなかでも、65歳以上の単独世帯は1.53倍(498万世帯→762万世帯)、75歳以上の単独世帯は1.73倍(269万世帯→466万世帯)になることが予想されており、高齢期に1人暮

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