地域をつくる -地域居住学の視点から-(立松 麻衣子 著) -奈良教育大学 出版会-
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- 3 - を発足させた。そして、マンション住民が気楽に地域と関わることができるような接点づくりを行い、新旧住民のコミュニティ形成に向けて取り組んでいる。 case3 「商いと暮らしが響き合う豊かなコミュニティを創出する」(京都市中京区) 祇園祭の山鉾をだす伝統地域。祇園祭によって新旧住民の関係性が維持されている。自治連合会とまちづくりの組織が協働して新たな地域組織を作り、地域の分譲マンションを対象にして、マンション間の横のつながりをつくる取り組みを行っている。マンション永住者を増やすことが、地域の伝統を継承していき、コミュニティを再形成することにつながると考え、新旧住民が互いに気持ちよく暮らし、伝統を守っていくことができる地域づくりを目指している。 case4 「重要伝統的建造物群保存地区を守り、誇りを持つ」(奈良県橿原市) 最大規模の重要伝統的建造物群保存地区。江戸時代の町屋のハード(建物)だけではなく、ソフト(文化や生活)を守ることが本物の保存活動だという理念を持ち、町並み保存会のリーダーシップによって住民による保存活動が行われている。活動を続けるうちに住民が自分の地域に誇りをもつようになり、住民による「本物のもてなし」によって外部者を受け入れている。 case5 「『世界一素敵な過疎の町』という逆転の発想」(北海道桧山郡) 人口5,000人弱の山間の地域。「過疎」「何もない」ということを逆手にとり、「世界一素敵な過疎の町」をスローガンにした移住交流人口を増やす取り組みを町役場と株式会社が行っている。移住交流の対象は子どもからシニア層まで幅広い。移住交流による外部評価を地域の見直しに反映させることによって、地域活性化とともに住民が暮らしやすい地域づくりにつなげている。 4.地域をつくる共通点 様々な地域事例を整理すると、共通する方向性が見えてきます。それは、「住

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