子どもはどうやって友達と一緒に遊び、表現をするようになるのか?(佐川 早季子 著) -奈良教育大学 出版会-
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子どもはどうやって友達と一緒に遊び、 表現をするようになるのか? -幼稚園での4歳児の6ヶ月間の事例から- 奈良教育大学 学校教育講座 佐川 早季子 1. はじめに 幼稚園や保育所、こども園は、子どもが初めて同じくらいの年齢の子どもたちと出会う場です。子どもがお母さんやお父さんと一緒に過ごしていた家庭から一歩踏み出し、このような保育の場に入っていくことは、自分とはちがう多様な他者のあいだで生きるという意味で、社会への最初の一歩と言ってもいいでしょう。 様々な子どもたちがいる場で、子どもは最初から良好な関係を築き、友達をつくっているのでしょうか。幼稚園や保育所で観察を続けていると、そんな子どもはまれで、友達とかかわるなかで気持ちをぶつけ合い、泣いたり怒ったりしながら、少しずつ自分のことも他人のこともわかってくるというが実際のようです。空き箱などの様々な素材や道具を使って子どもが好きなものをつくる製作コーナーでは、子どもたちがぶつかったり、すれ違ったりするなかで、だんだん、他の子どもから刺激を受けて、自分の表現に反映するといった姿が見られてきます。 図1 4歳児ななこちゃんのつくったもの

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