子どもはどうやって友達と一緒に遊び、表現をするようになるのか?(佐川 早季子 著) -奈良教育大学 出版会-
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の道具をつくろうとしています。同じ道具をつくろうとしているいくやくんの手元を見ては、「あとは色を塗るだけだよ、いくや」と教えたりしています。そして、じろうくんがトイレットペーパーの芯2本を縦につなげているのを見て( )、「いいな」と思ったのか、そのときやろうとしていたことをやめて、紙コップを手に取り、じろうくんと同じように、2つの紙コップを縦に重ねて、仮面ライダーの道具をつくりはじめます。同じゴールを目指すなかで、きいちくんは、じろうくんの手元を見て、そのアイデアの面白さに気づいたのでしょう。 このように、子どもは、体を寄せ合い、モノを見たり・見せたりするなかで、気持ちを通わせ、言葉でもコミュニケーションを図るようになってきます。特に、幼児期の子どもにとっては、体を寄せて共振すること、まなざしを交わすことが、大切なコミュニケーションです。そのようなかかわりがあってこそ、言葉で意図や意見を交わすようになり、相手の考えをとりいれ、自分の表現に活かすという創造的な行為を行うと言えます。 [ 注 ] 1) 初出は、以下の論文です。 佐川早季子(2014)幼児の造形表現におけるモチーフの共有過程の検討−身 体配置・視線に着目して、保育学研究、52(1)、 43-55. 図5 11月のきいちくんの事例4 <友達のつくり方をとりいれる>

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