人間ジオ宝(河本 大地 著) -奈良教育大学 出版会-
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人間ジオ宝 奈良教育大学 社会科教育講座 地理学研究室 河本 大地 (絵:川島 蓮香) 1.ジオの世界へようこそ 「どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんのかわいそうなロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ!」 スタジオジブリの映画『天空の城ラピュタ』で、ヒロインのシータは言いました。 土を含む、人間や他の生きものの基盤になっている自然のことを、「ジオ(geo)」といいます。具体的には、土壌や、地形や、地質や、岩石や、水や、雪氷や、気候・気象などのこと。ジオを大地と訳すこともあります。ジオという言葉は、学問分野で言うと、地理学(geography)、地質学(geology)、地形学(geomorphology)、地球化学(geochemistry)、幾何学(geometry)などの接頭語として使われています。最近は、ジオについて楽しくわかりやすく見せようとする地域であるジオパーク(geopark)も世界各地に増えています。 私たち人間や他の生きものは、ジオの上や、ジオの中で暮らしています。そこには地域多様性があります。次のページの絵を見てみましょう。 豪雪地域の暮らしがあります。斜面に張り付いた集落と棚田のある山あいの暮らしがあります。熱帯雨林などの自然を必死に守り続けてくれる人がいます。汗を流して鉱物や岩石を掘り出す暮らしがあります。平野や盆地の地形を活用した田畑や町があります。ほとんど雨の降らない砂漠を横切って荷物を運ぶ暮らしがあります。命がけで漁をして新鮮な魚をとり続けてくれる人がいます。 気候風土や地形といった「ジオ」に適合した生活文化が、それぞれの土地に息づいています。

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