世界の数学科授業・日本の数学科授業(舟橋 友香 著) -奈良教育大学 出版会-
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図2:一授業に含まれる主題の数 図3:数学的概念の導入方法 これまで、数学教育の研究では、日本とドイツの比較研究はあまりなされていませんが、ドイツから影響を受けた歴史も加味すると、比較対象がドイツゆえに顕在化する日本の授業の特徴が期待されます。 それでは、同じ数学的内容について、日本とドイツではその扱われ方にどのような違いがあるでしょうか。TIMSSビデオ研究では、授業の様相を示すサンプルビデオが各国2授業ずつ公開されていますので、このうちドイツの「連立方程式」を扱った授業に注目してみましょう。「連立方程式」は、日本でも中学校2年生で学習する内容です。サンプル授業にみるドイツの教師は、まず連立方程式の解法を振り返るために、その名称と具体的な問題例を提示するよう生徒に求めました。図4は、このとき生徒の発言を教師が板書したものです。 図4:教師による板書 板書の内容から、等置法(Gleichsetzungs)、代入法(Einsetzungsverfahren)、加減法(Additionsverfahren)の三つが、ドイツでは連立方程式の解法として扱われていることが分かります。現行の日本の教科書では、一般に、等置法は代

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