教育現場で活躍する福祉の専門家スクールソーシャルワーカーとは?(厨子 健一 著) -奈良教育大学 出版会-
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カーは,どのような仕事をしているのでしょうか。 質問ですが、これまでの人生を一人で生きてきましたか。おそらく、回答は「いいえ」でしょう。家族、友人、先生、恋人などに支えられて生きてきたと思います。いいかえると、人は周りの環境から影響を大きく受けて成長します。ときには悪い影響を受けたことがあるかもしれません。 ソーシャルワークでは、人を取り巻く環境に注目します。環境は、人、家族、学校、地域、制度、サービスなど、あらゆるものを指します。人が課題を抱えたとき、ソーシャルワーカーはその人自身にくわえ、人にとってストレスとなる環境がないかどうかに着目します。そして、生きづらさを生み出している環境に働きかけたり(①)、人と環境との橋渡し(②)をする仕事をします(図1)。環境では、人に必要な制度やサービスへもアプローチします。最終的に、人と人、人と制度・サービスをつなげることになるので、ソーシャルワーカーは「つなぐ」仕事をしているといわれています。さらに、大切なことがあります。ソーシャルワークでは、日常生活上の課題(生活課題)を対象とします。つまり、子どもを例にとれば、子どもの学校での課題だけでなく、家庭や地域においての問題もないか考えます。 ソーシャルワーカーは、課題を抱えた人の生活全般にアプローチします。そのため、他の専門家からみると、何をしているのかとらえづらい場合があります。ソーシャルワーカーは、教育現場、医療現場、高齢者施設といったさまざまなフィールドで働いています。いかなる現場においても、課題を抱えている人にとって生活の質が高まる環境のあり方は何かを日々考えています。 3.学校にスクールソーシャルワーカーが必要なわけ スクールソーシャルワーカーが学校に配置される理由として、①子どもの問題を早期に発見できること ②課題の予防につながること、の2つがいわれて家族友人先生地域ソーシャルワーカー①②日常生活※:環境図1ソーシャルワーカーの仕事

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