教育現場で活躍する福祉の専門家スクールソーシャルワーカーとは?(厨子 健一 著) -奈良教育大学 出版会-
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かけを与えてくれます。つまり、華子が課題を引き起こしたのには、何か理由(背景)があることに気づかせてくれます。 スクールソーシャルワーカーは、①環境への働きかけ ②人と環境との橋渡しをします。大切なことは、スクールソーシャルワーカーは一人で動くのではなく、教員や他の専門家とチームを組んで、華子の環境を調整するということです。あらゆる環境への幅広い支援が求められるため、役割分担が必要です。 ①では、華子の学校内での居場所、母親の相談相手、地域における孤立などに対するアプローチが必要です。父親へのかかわり、良子・美和子へのアプローチも欠かせません。必要に応じて、福祉・医療機関などと連携をし、華子の周りの環境を整えていきます。②では、改善された環境を華子と結びつけることが重要です。たとえば、華子と母親との関係において、お互いの頑張りをスクールソーシャルワーカーが代弁することで、良好な関係づくりを目指します。 事例で大切なことは、①子どもの課題には背景があり、とくに家庭環境は子どもに大きな影響を与えている ②華子だけでなくあらゆる環境に目を向け、華子と華子にとって重要な環境との調和をはかる、この2つといえます。 5.おわりに スクールソーシャルワーカーは、子どもの生活全体にかかわります。したがって、家庭、学校、地域など、あらゆる対象へのダイナミックなアプローチを展開します。幅広い活動のため、何をする専門家なのか理解されていない場合も少なくありません。教員を志す方には、生活課題を把握し、人と人、人と制度・サービスをつなぐ専門家がいることを知っておいてほしいと思います。 父母華子学年主任養護教諭良子美和子単身赴任担任図3エコマップ地域男性(家族内)女性(家族内)強い関係通常の関係弱い関係葛藤関係同円;同居家族支援対象者

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