植物を増やしたことありますか?(箕作 和彦 著) -奈良教育大学 出版会-
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1.種子繁殖 種子繁殖は、種子を利用した増殖方法で、植物が花を開いて受粉、受精を行わせて、子房内に種子ができます。ただし、メンデルの法則然り種子繁殖では、子孫の形質が安定しない場合があります。 種子繁殖では、種子を播いた後、発芽には周りの環境の影響を受けることに注意する必要があります。具体的には、温度、水、酸素が主な3要素でこれに光も考慮するとほぼ間違いありません。主な3要素については植物=生物が活動するときに必要なものをイメージするとわかりやすいと思います。温度はおよそ20~30℃で、水や酸素は適宜供給することが大切です。光については、光に対しての性質から好光生種子と嫌光生種子に分けて対応します。まず、レタスなどのキク科やセリ科の植物は発芽するために光が必要です(好光性種子)、一方ダイコンなどのアブラナ科の種子は光を当てないほうが良いです(嫌光性種子) 種子発芽に関する他の要因としては、種子に発芽抑制物質が含まれる難発芽種子や種皮が硬い硬実種子があります。これらの種子は、発芽までの温度を変えたり、種皮に傷つけ処理をしたり、未熟な種子を採取すると発芽を促すことができます。 2.栄養繁殖 栄養繁殖とは、植物体の一部から植物体を再生させる増殖方法で、母株と同じ形質をもつクローン植物です。この栄養繁殖には、株分け、挿し木、接ぎ木、組織培養などいくつか種類がありますが、この順に作業の難易度が高くなります。 株分けは、アジサイやボタンなどの花木やオリヅルラン、サンセベリアやゼラニウムなどの観葉植物で良く行われ、植物体に根をつけて切り分けます。そのため、増殖効率は2~3倍程度となり低いですが、作業が簡単で成功しやすい方法です。

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