学習評価入門(北川 剛司 著) -奈良教育大学 出版会-
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することもあります。このような評価は、通常の場合、教育実践の一つの区切り(例えば、単元ごと、学期ごと、学年ごと)の最後において実施されます。 評価のもう一つの目的は、改善することです。改善のための評価は、児童生徒の学習状況について把握して、その後の教育実践を調整することを評価の目的と考えます。評価そのものが目的であるというよりは、評価は教育実践をより良いものとしていくための手段とみなされます。このような目的で行われる評価は、教育実践の途中のその時々において実施される必要があるでしょう。 このように、一言で「評価」といっても、目的によって機能が全く異なります。評価を行うにあたっては、目的を混同しないようにしなければなりません。例えば、判定(判断)のために実施した評価から、改善のための情報を必ずしも得ようと考える必要はありません。また、改善のために日常的に実施する評価を判定(判断)に加味しようとすると、教師も生徒も評価のことを常に意識しなくてはならなくなり、日常の教育実践にさまざまな問題を引き起こすこともあります。 近年、学校教育では、よりよい教育を目指して評価の活用が重視される傾向にありますが、評価のための学習となるのではなく、あくまで学習のための評価であるということに留意する必要があるでしょう。 Ⅲ 評価の方法―児童生徒に育てたい力と評価方法の関係― 学習に関する評価の方法は、次のような分け方をすることができます。一つは筆記式の方法、もう一つは実演式の方法1です。筆記式の方法とは、紙に書かれた問題(課題)について児童生徒に筆記解答させるいわゆる「ペーパーテスト」と呼ばれる方法のことを言います。一方、実演式の方法とは、児童生徒に筆記解答以外の実演を要求する方法のことを言います。例えば、体育の跳び箱、音楽の演奏、朗読、英語によるスピーチといったものを実演させてみて評価を行います。 このように、学習に関する評価について、現在では、筆記式の方法に限定することなく、実演式の方法も用いて多面的に評価することが必要であるという 1 実演式の方法は近年では「パフォーマンス評価」と呼ばれています。

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