外国語を学ぶことの意味-日本語学習者の学びの姿から-(和泉元 千春 著) -奈良教育大学 出版会-
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2 本語学習者は、この数値よりもっと多いと考えられます。学習者の教育段階は中等教育が52.1%と最も多く、高等教育が27.5%、学校教育以外が14.7%、初等教育が5.7%となっており、中学・高校で日本語を学ぶ若い学習者が半数以上を占めています。 表1.学習者数上位10か国・地域の変化 『2015年度海外日本語教育機関調査結果(速報値)』 では、彼らは何のために日本語を学んでいるのでしょうか。国際交流基金2012年度の日本語教育機関調査2によると、教育段階によって学習目的の傾向は異なっていますが、日本語学習の目的として最も回答が多かったのは「日本語そのものへの興味」(62.2%)でした。そのあと「日本語での コミュニケーション」(55.5%)、「マンガ・アニメ・J-POP 等が好きだから」(54.0%)、「歴史・文学等への関心」(49.7%)が続きます。「将来の就職」(42.3%)や、「日本への留学」(34.0%)といった実利的な目的より、日本や日本語に対する興味が上回っているのが特徴です。また、日本のポップカルチャーが日本語学習のきっかけとなっている点もインターネットの普及等によるグローバルな情報社会ならではの傾向であると言えるでしょう。日本語学習者のこのような状況を見ても分かるように、外国語としての日本語学習の文脈に限らず、私たちが外国語や外国の文化に出会い、外国語を学ぶ機会はますます特別なことではなくなってきています。 2 国際交流基金『海外の日本語教育の現状 2012年度日本語教育機関調査より』くろしお出版, p.17

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