外国語を学ぶことの意味-日本語学習者の学びの姿から-(和泉元 千春 著) -奈良教育大学 出版会-
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6 3.日本語学習者Aの日本語学習の場合 ここに1年間の交換留学生として日本に来た大学生のAさんが、日本での留学プログラムの総括として書いたレポート(抜粋)7を取り上げ、普遍的な言語規範の獲得を重視した外国語学習の観点と、異文化間的側面を重視した外国語学習の観点から、Aさんの日本語学習について考えてみましょう。 Aさんは米国出身で、日本のアニメがきっかけで日本文化や日本語に興味を持ちはじめました。日本の大学に留学してから日本語を本格的に学び始め、このレポートは日本語学習開始8ヵ月後に書きました。 夢 いつか一年間日本で留学をしたり、友だちができたり、10年前の私に言ったらそのことを信じられなかったと思いました。私は強硬で、反社会てきだったから。そして、その前に、友だちがいなかったです。(略) でも、中学校生の時、アニメを見始めました。(略)ナルトと言うアニメを見始めました。毎週土曜日に見ました。いちばん好きなキャラクターはハタケ・カカシでした。それから、そのキャラクターの絵を描き始めました。毎日がんばりましたから、たくさん絵を描くために本と漫画を買いました。その本を読んだ時、もっともっと日本について習いました。そろそろ夢を作りました。その新しい夢は日本に行くことでした。(略)その時は13歳でしたから、だれも信じませんでした。そんで、それを聞いたら、私の夢は強くなりました。高校で、その夢もありました。大学生になりたかったです。お金がなかったから、仕事をしたかったです。いい仕事をしたかったから、大学生になりたかったです。だから、高校生の時、毎日勉強がんばりました。そして、ある日に、私はいつも一人ときづきました。いつもさまざまな人を見ました。さまざまな人の生活について、面白いと思ったから、心理学的なしつもんを考えました。毎日、考えたから、新しい夢を作りました。その新しい夢は、大学で心理学を勉強することでした。(略)毎日、大学図書館で6時間勉強しました。晩ご飯だけ食べました。ある日、晩ご飯の時、私のルームメートはドイツ人の留学生と台湾人の留学生をしょうかいしました。(略)もういちど私の夢が変更しました。でも、新しい夢を作りました。新しい夢は全世界を旅行したかったです。いちばん初めの国は日本でした。だから、もっと留学生のことを習いました。後に留学申し込みをしました。 2ヶ月後にメールをくれました。そのメールは日本の留学としてうけつけました。その時、私は信じませんでしたから、私の友だちに言いました。言ったから、私の友だちは信じました。だから、私も信じました。 7 『奈良教育大学 日本語・日本文化研修留学生/国際交流協定に基づく特別聴講学生 修了レポート集』第14号, 147-149。表記等は原文のママ。

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