子ども・若者の自立と支援-「子ども・若者支援」という課題の登場-(生田 周二 著) -奈良教育大学 出版会-
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3.おわりに 以上、私が研究代表をしている「子ども・若者支援専門職養成に関する総合的研究」(日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究B:2013年度〜2016年度)の研究成果の一端をお示ししてきました。 日本の子ども・若者支援は、キャリア教育もそうなのですが、自立の「経済的側面」や就業能力(employability)に重点が置かれ、ターゲット・サービスを中心とした取り組みに焦点が当たる傾向があります。こうした状況に対して、「“第三の領域”としての子ども・若者支援」と「自立の5側面」の提案は、すべての子ども・若者が、社会への参画や自己実現に向けて支援を受ける権利を保障されることが必要ではないかという問題提起です。 ユネスコ「学習権宣言」(1985年)の文言を借りれば、参画や自己実現は、子ども・若者一人ひとりが尊重され、「自分自身の世界を読みとり、歴史をつづる」こと、「自らの歴史をつくる主体」となっていくことにつながると考えています。そして、「すべての人間が個人として、集団として、さらに人類全体として、自らの運命を自ら統御すること」が、持続可能な社会づくりにつながるということでもあります。 ドイツやイギリスでは、社会教育学やユースワークの研究分野において、この研究が進んでおり、また“第三の領域”としての子ども・若者支援を担当す

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