子ども・若者の自立と支援-「子ども・若者支援」という課題の登場-(生田 周二 著) -奈良教育大学 出版会-
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坂正文「広場とぼく等と青空と」(1971))が登場します。 ・ 1980年代〜90年代半ば:現在の大学入試センター試験に至る偏差値序列化の傾向が顕著になり、学校における校内暴力、不登校、いじめなどが健在化します(尾崎豊「15の夜」(1983)、「卒業」(1985))。その中で、安心できる「居場所」、子どもの権利と子どもの参画への着目がみられます。 ・ 1990年代後半〜2000年代:学級崩壊、児童虐待、学力低下が問題化し、発達障害への関心も高まります。非正規雇用が勤労者全体の3分の1に達するなど格差と貧困が拡大する中で、ニート、フリーター、ひきこもり(Mr. Children「SUNRISE」(2007))が問題化し今日に至っているといえます。 (1)背景 「子ども・若者支援」という言葉の背景には、上述の通り、とりわけ2000年以降の子ども・若者を取り巻く状況の変化があります。 たとえば、「子供・若者育成支援推進大綱」(2016年、子ども・若者育成支援推進本部決定)において指摘されているのは、次のような問題状況です。 ・ 家庭:ひとり親世帯の増加、子どもの貧困、児童虐待など ・ 地域社会:近所づきあいの減少、子ども会加入率の減少、地域の見守り機能への期待 ・ 情報通信環境:SNSを介したいじめ、違法・有害情報の拡散、情報モラル教育の必要性 ・ 雇用:グローバル化・情報化等による経済社会構造の変化、非正規雇用の増に伴う不安定化、所得減 その上で、とりわけ困難を有する子ども・若者について、「貧困、児童虐待、いじめ、不登校、ニート等の問題が相互に影響し合うなど、様々な問題を複合的に抱え、非常に複雑で多様な状況となっている」ことを踏まえた取り組みを展開しようとしています。 (2)子ども・若者支援に向けての施策 特に若者雇用問題への包括的な支援策として、2003年から「若者自立・挑戦プラン」が展開し, 具体的には特にフリーターの就労を支援する「ジョブ・カ

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