子ども・若者の自立と支援-「子ども・若者支援」という課題の登場-(生田 周二 著) -奈良教育大学 出版会-
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フェ」(2004年、就職セミナー、企業等での短期体験プログラム、職業相談などを提供)が各都道府県に設置されます。また、「地域若者サポートステーション」(2006年、略称サポステ:学校から社会への移行に困難を抱える若者を対象に就業につながる支援を提供)の開設などにより就労支援が行われます。2010年には「子ども・若者育成支援推進法」、それを具体化した「子ども・若者ビジョン」により、より包括的に若者の自立を支援する社会システムの確立が目指されています。 また、こうした展開とも関連しながら、学校教育ではキャリア教育が展開されており、2011年に中教審答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」が出され、児童・生徒の「社会的・職業的自立」に向けた教育活動の展開が行われています。 3.自立とは? 最後に、子ども・若者支援の方向目標でもある自立について考えましょう。 (1)自立について 「自立」については、次の過程だと考えられます。 ・親を中心に家族など、「信頼できる他者」との関係性を踏まえる……安心感 ・自己の能力や世界観、主体性を獲得・拡張していく……自信・達成感 ・自己決定能力を獲得し、自己実現を果たしていく……自由 つまり、親などのとの関係において安心感を基盤にしつつ、そこを巣立っていく力を蓄え、自分の能力を発揮する場と機会を獲得する過程だといえます。 まだ分かりにくいので、具体的に自立にはどういった側面があるのか。それを絵本などを使って考えてみましょう。 A.基本的ニーズ 『おおきくなるっていうことは』(中川ひろたか・文;村上康成・絵(1999)童心社)では、保育所の年長さん向けに園長先生が話しています。 「おおきくなるっていうことは ようふくが ちいさくなるってこと」から始まって、「おおきくなるっていうことは ちいさなひとに やさしくできる

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