主体的・対話的で深い学びの実現を意図した美術科学習の構築-俵屋宗達筆「舞楽図」(醍醐寺蔵)の鑑賞を事例として-(竹内 晋平 著) -奈良教育大学 出版会-
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主体的・対話的で深い学びの実現を意図した美術科学習の構築-俵屋宗達筆「舞楽図」(醍醐寺蔵)の鑑賞を事例として-奈良教育大学美術教育講座竹内晋平1.中学校美術科学習における「主体的・対話的で深い学び」平成29年3月、文部科学大臣によって小学校学習指導要領と中学校学習指導要領、そして幼稚園教育要領が公示されました。約10年に一度の改訂が行われる学習指導要領等ですが、今回は学校教育で「何ができるようになるか」(育成を目指す資質・能力)、「何を学ぶか」(教科等を学ぶ意義と、教科等間・学校段階間のつながりを踏まえた教育課程の編成)という点に加えて、「どのように学ぶか」(各教科等の指導計画の作成と実施、学習・指導の改善・充実)という改訂の方向性が示されました1)。急速な人工知能の発達、社会構造の変化等により予測が難しくなりつつある未来をよりよく生きていくためには、これからの学校教育において子供たちに本当の意味での「生きる力」を育成していくことが求められています。今回の学習指導要領改訂は、このような必要性に基づいたものだといえるでしょう。子供たちが「どのように学ぶか」という点を考慮する上でキーワードとなるのが「主体的・対話的で深い学び」です。教員からの説明を受動的に聞き続ける学習や、知識を覚えるためだけに用語などを暗記する学習では、真の「生きる力」が身に付くとはいえません。そこで、「主体的に学習を見通し振り返る場面をどこに設定するか、グループなどで対話する場面をどこに設定するか、学びの深まりを作り出すために、子供が考える場面と教員が教える場面をどのように組み立てるか」2)という点に留意して、質の高い学びを実現できる授業を

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