「大いなるメリットのための“小さな”犠牲問題」とは?-社会学的研究の一視点-(渡邉 伸一 著) -奈良教育大学 出版会-
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6 しかしですよ、「病気ではない」というなら、なぜ、腎障害にならないために米の安全基準値を改定したのでしょうか。しかも40年間も変えなかったのに。「病気ではない」というのなら、基準値など厳しくせずに、被害者と同様、放っておけばよいではないですか。実は、基準値を0.4ppmに改定したのは、世界基準値が0.4ppmに決まったからなのです。カドミウムによる腎障害は日本だけでなく世界中で発生しており、その研究調査を受けて、食品の安全性と品質に関して基準を定める国際的機関(コーデックス委員会といいます)は、世界基準値0.4ppmを作りました。それなのに、日本だけ1ppm平成28年度農用地土壌汚染対策地域位置図 (環境省)

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