情報教育からみたプログラミング教育-情報活用能力の育成からみて-(伊藤 剛和 著) -奈良教育大学 出版会-
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付きの視点から捉える力や、問題の発見・解決に向けて情報技術を適切かつ効果的に活用する力、複数の情報を結び付けて新たな意味を見いだす力などと関連しています。③プログラミング教育で目指す学びに向かう力・人間性等プログラミングによるモノづくりを通じて、コンピュータの働きを、よりよい人生や社会づくりに生かそうという態度の涵養が挙げられています。これらの育成には、便利な側面や面白そうといった動機を大切に、作り出したモノが個人に及ぼす影響や、万が一セキュリティ面での不具合や未対策による社会に及ぼす責任など、情報モラルや情報セキュリティといったことと関連づけて態度を養うことが重要です。4.社会からみた「プログラムができる」への期待GAFA(ガーファ:Google,Apple,Facebook,Amazonの頭文字)の躍進や、AIやIoTといったトレンド用語のように、「次代に役立つそういったものを生み出せる力」が期待されているのでしょう。その視点から起業家教育や職業教育の側面の可能性や危惧する声もあるようです。違う側面からみると、社会の中ではコンピュータ草創期より様々なプログラム言語で記述されて稼働している色々なサービスや製品が活躍しています。それらを維持・発展させていくためには、構成する技術に関する知識なども必要ですが、プログラムされた中身を読んで理解できる力を持つことも重要なのです。例えると、プログラムを読むことができるということは、「本にまとめて残されたものを、理解し活用して後世に伝えることができる」ことと同じと捉えることもできます。コンピュータサイエンスのように、プログラムは言語だけではなく、コンピュータの仕組みそのものと関連づいている部分もあります。順次処理・条件分岐・繰り返しといった基本構造以外にも、イベントドリブンや、再帰的定義、モジュール(関数やAPI)などといったものもありますし、データの型でも、ポイ

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