情報教育からみたプログラミング教育-情報活用能力の育成からみて-(伊藤 剛和 著) -奈良教育大学 出版会-
15/20

ンタや配列、通信やメモリ制御だと、プロトコルとかアドレス、ポートといった概念があります。レイヤー概念や光の三原色、座標軸といった画面に関することや、ANDやORなどの論理演算などは、算数・理科・図工のような教科と関連づけが可能な部分もありますが、中学校技術科や高等学校情報科で学ぶこととの体系化が期待されています。さて、一般的に「プログラミングで育む力」というのは、どういうことをイメージできるでしょう。一つは、自分自身の活動を省力化・効率化していくために、プログラミングによって分業できたり、表現したり、思考を確かめるためにシミュレーションしたりするプログラミングでしょう。プログラミングは、手順を自動化することで、たくさんのステップを1つにまとめたり、ルーティンなどの一定の流れを自動化させたりすることが可能です。もう一つは、ゲームや業務パッケージなど、他者に役立つモノづくりとしてのプログラミングでしょう。依頼者から要求や希望を聞きとり、要件定義をまとめたり、仕様書を作成したり、細分化したパーツごとにプログラムしたり、PDCAサイクルで改良したりといった活動全体を支える人材は、依頼者の要求する業務分野の専門知識とあわせて、様々な業種に区分された人材像として求められてきました。もう一方、関連業界から教育活動への期待として、プログラミング体験を通じて高める力が挙げられています。具体的には、作りたいことを伝えて理解しあえるコミュニケーション力や、分業・協力できるように話しあう力や、チームで一緒に問題解決できる力です。これらはプログラミング活動を個人で進めるのではなく、ペアやチームといった協力体制で活動することにより、考えたことや予想したこと、進め方などを話し合い、言語化することで点検し合えることを求めているのでしょう。この部分の期待は、現行の学習指導要領での言語能力(情報活用能力)とも合致しています。5.小学校プログラミングの実践にむけて小学校プログラミング教育の手引(第二版)では、小学校段階におけるプログラミングに関する学習活動を分類しています。詳細は、手引や関連サイトを閲

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る