情報教育からみたプログラミング教育-情報活用能力の育成からみて-(伊藤 剛和 著) -奈良教育大学 出版会-
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覧ください。「B.各教科等の内容を指導する中で実施するもの』の例示された『様々なリズム・パターンを組み合わせて音楽をつくることをプログラミングを通して学習する場面」(4年音楽)では、器楽の技能や読譜などを習得する前段階でも、創作用ソフトウェア(DTM等)を用いて様々なリズム・パターンの組み合わせを試し、更に工夫を重ねて試行錯誤していく音楽づくりが期待できるでしょう。実際に小学校現場において、プログラミング教育を実施していく際、第1章で述べた情報活用能力育成をより細分化し、低学年・中学年・高学年のそれぞれに応じた情報活用能力の育成や、それに合わせたICT活用スキルの向上との関連性が不可欠です。上記の例では4学年までに、コンピュータ等の電源操作やファイル保存や呼び出しなどの基本操作とともに、授業で使うソフトウェアの起動などにも慣れておく必要があるでしょう。このため3年国語ではローマ字の学習でのキーボード操作が関連づいています。教科書に記載される活動となる「A.学習指導要領に例示されている単元等で実施するもの」に例示された『プログラミングを通して、正多角形の意味を基に正多角形をかく場面』(5年算数)や『身の回りには電気の性質や働きを利用した道具があること等をプログラミングを通して学習する場面』(6年理科)は、各教科等の学びをより確実なものとするための指導計画上にプログラミングを位置づけています。ICT活用スキルや情報活用能力が、「教科のねらいと合わせて、情報活用能力の育成を教育目標に位置づけて指導計画をたてる」ことと「情報活用能力をレディネスとしてとらえ、より充実した教科のねらいを達成する指導計画をたてる」ことの違いと同様です。小学校プログラミングに関して、著者の私案ですが、体系的・系統的な情報活用能力の育成の一部として、次のような到達指標で整理しています。●低学年:順序だてて指示したことが自動的に順番に動くことが理解できる。●中学年:条件分岐(判断)や繰り返しを活用し、指示された動作をするように、手順を組み立てて表すことができる。

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