幼稚園4歳児は他児の喧嘩やいざこざにいかに介入するのか(松原 未季 著) -奈良教育大学 出版会-
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幼稚園4歳児は他児の喧嘩やいざこざに いかに介入するのか 奈良教育大学教育連携講座松原 未季 (次世代教員養成センター) 1.はじめに私は、大学の学部2回生のフィールド調査の授業で初めて幼稚園に足を踏み入れました。幼稚園では、子どもがお友達とぶつかり葛藤する姿、躓いたり困っているお友達を助けたりする姿、よく喧嘩になるお友達とのかかわりに悩みながらもうまく付き合う方法を試行錯誤する姿などが見られました。このような姿を目の当たりして、子どもたちが作り上げる世界は、まさに「人間関係の縮図」のように感じ、子どもが子どもなりに構成する社会に魅了されました。子どもたちが形作る社会を追うことによって、「大人の人間関係の原点」を見出せる可能性を感じ、幼稚園におけるフィールド調査研究に取り組み始めました。 幼稚園でフィールド調査を始めて、とりわけ私の胸を打ったのは、幼児が他児の喧嘩やいざこざに介入する姿でした。幼い子どもも、お友達が喧嘩やいざこざで困っている姿を他人事とは捉えずに、子どもなりに真摯に捉え、解決に向けて介入する姿が見られました。 幼稚園におけるいくつかの事例を紹介することで、子どもの介入の素敵な姿を伝えたいと思います。対象は、2年保育の幼稚園の4歳児クラスです。4歳児は、お友達への関心が高まり、お友達の気持ちや思いに気付いていく時期であり、介入においても、大人である私たちから見ても驚かされる姿がたくさん見られました。

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