なぜドイツでは緑の党が「成功」したのか-「68年世代の党」としての視角から-(西田 慎 著) -奈良教育大学 出版会-
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どりの連合」など「みどり」「緑」を名乗る政党や政治グループは何度も設立されましたし、2011年の福島第一原発事故の後、再び「緑の党」が結党されました。しかしこうした政党やグループが国政選挙で議席を獲得した例はなく、17年の最新の連邦議会選挙でも得票率8.9%で67議席を得たドイツの緑の党には遠く及びません。 私は自著『ドイツ・エコロジー政党の誕生』で、ドイツの緑の党が、68年運動を担った68年世代を中心に、エコロジーと左翼の連合を母体に成立しているのに対し、日本の場合、68年運動とはまったく関係がないところで、エコロジー政党が主にエコロジストによって設立されている点に限界があると指摘しました。もし日本の68年世代の「全共闘世代」がエコロジーと左翼の連合を目指す戦略を採っていたなら、日本でもドイツのような緑の党が誕生し、「成功」していたかもしれません。歴史にifは禁物ですが。 <さらに深く学びたい人のために> 小野一『緑の党-運動・思想・政党の歴史』講談社選書メチエ、2014年 西田慎『ドイツ・エコロジー政党の誕生-「六八年運動」から緑の党へ』昭和堂、2009年 西田慎「反原発運動から緑の党へ-ハンブルクを例に-」若尾祐司/本田宏編『反核から脱原発へ-ドイツとヨーロッパ諸国の選択』昭和堂、2012年、116-154頁 西田慎「緑の党」西田慎/近藤正基編『現代ドイツ政治-統一後の20年』ミネルヴァ書房、2014年、83-109頁

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