仮名書道はジグソーパズル-仮名文字を使った表現方法-(北山 聡佳 著) -奈良教育大学 出版会-
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仮名書道はジグソーパズル -仮名文字を使った表現方法- 奈良教育大学美術教育講座北山 聡佳 1.はじめに―仮名のなりたち― 中国から日本へ漢字が伝わり、日本人はそれを使って、独自の文字「仮名かな」を発明しました。そして現在、私たちは仮名の中でも「ひらがな」と「カタカナ」の2種類を使っています。しかし、それらだけを学校で習うように決められたのは、1900年のことでした。意外と新しいと思いませんか。 文字を持たなかった日本人は、漢字の音をヒントに、いろんな人がいろんな仮名を発明しました。そうすると、「あ」という音を文字にしたものが、何種類もできます。ある人は「安」を使って、ある人は「愛」を使って、ある人は「悪」を使っているような状況です(もちろん、一人で何種類も使う場合が多くあります)。しかも、漢字には様々な書き方(これを「書体」といいます)があり、例えば「安」だけでも何種類もの書き方があるわけです。そうなると、どの音を表すにもたくさんの文字や書き方が生まれます。 皆さんは、ひらがなとカタカナを学んだときのことを覚えていますか。初めての文字学習で苦労したのではないでしょうか。しかし、それが1900年よりも前だったとしたら、もっと多くの仮名を覚えなければならず、もっと苦労をしていたかもしれません。 1900年にひらがなとカタカナを今のようにしようと決定したときに、ひらがなにもカタカナにも選ばれなかった仮名を、「変体仮名(へんたいがな)」と呼ぶようになりました。つまりそれ以降、仮名は「ひらがな」と「カタカナ」と「変体仮名」に分けられるということです。 今は、「変体仮名」は学校では習いません(高等学校芸術科書道を除きます)。

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