仮名書道はジグソーパズル-仮名文字を使った表現方法-(北山 聡佳 著) -奈良教育大学 出版会-
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さてここで、仮名のクイズをしてみましょう。図13は、『関戸本古今集』に実際にある仮名の組み合わせです。いくつ読めますか。ヒントとして、それぞれの元の漢字を挙げます。 ①不三②有見③古避 ④佐九羅⑤悲と利※「と」はひらがな この『関戸本古今集』の中にも、またこれ以外の古筆でも、同じ音なのに違う文字や書き方を使っているものはたくさんあります。私は普段からいろんな古筆を見て、おもしろい組み合わせを探しています。 さてクイズの正解は、「①ふみ②うみ③こひ④さくら⑤ひとり」です。いくつ読めましたか(平安時代のものなので、歴史的仮名遣いです)。因みに、①から⑤の他の仮名の組み合わせを図14に挙げます。元の漢字を交えて書くと、①「ふみ」②「うみ」③「こひ」「古飛」④「さくら」⑤「ひと利」です。これらはひらがなが多い表現ですね。ひらがなも用いて、その場その場で画数の調整をしていることが分かります。 5.おわりに 好きな仮名を選んで、自分が気に入った組み合わせが見つかれば、仮名作品はそれでもう完成です。しかし、絵と同じで、そのバランスがなかなか難しいのです。どのようなバランスにするか、やはり古筆をはじめたくさんの作品を参考に工夫することが必要です。仮名というジグソーパズルを完成させるための、文字のピースはたくさんあり、自分で探してくることができます。それらをどう組み合わせて表現をするのかを考えなければなりません。完成予想図も自分で考えるということです。 そして、ジグソーパズルと違うところがもう一つあります。それは、仮名書道では、集めてきた文字をそのまま組み合わせるだけではなく、文字の大きさ図14 ③ 図13 ⑤ ④ ③ ② ① ⑤ ④ ② ①

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